ガレット・デ・ロア

●コクのあるアーモンドクリームがパイ生地にはさまれているとてもシンプルなお菓子で、カットされているケーキではなく一台まるのまま売られているのが一般的です。Fèves(フェーヴ)という陶器の小さなお人形がケーキの中に隠れています。フランスではこのケーキは12~1月に販売されるそうです。中に隠れているFèves(フェーヴ)が可愛らしいこともあり(コレクションとしての要素があるのでしょう)蚤の市などでさまざまなFèves(フェーヴ)に出会えるそうです。さてそんな「ガレット・デ・ロア」ですが幾重にも重ねられたパイ生地作りから始めましょう。冷凍のパイ生地を使うのも一つの方法ですが味が全然違います。失敗を恐れずにトライしてみませんか?とは言っても今回のお菓子はちょこっと難易度が高いかもしれません。それでも頑張ってみたい方のために出来る限り念入りに解説いたしました。どうぞ最後までお付き合いくださいませ。冷凍のパイ生地を使用する場合はアーモンドクリームだけ用意すればOKです。

作業工程が長いので四つに分けて解説いたします
1、アーモンドクリームの準備
2、パイ生地を作ります
3、次に折り込むバターの準備をします
4、成型をします
5、焼き上げます

材料(直径21センチ)少し生地があまります
薄力粉          180グラム
強力粉          180グラム
水            220CC
塩            小1と3分の1(分量の水に溶かしておきます)
溶かしバター        25グラム(生地に練り込む分)
無塩バター        220グラム(生地に折り込む分)

◇アーモンドクリーム◇    
バター(柔らかい状態)   70グラム
粉砂糖           70グラム
アーモンドプードル     70グラム
卵            Mサイズ1個
薄力粉           大1

手順
まずアーモンドクリームを作ります
1.まずアーモンドクリームを作ります。ボウルに柔らかくしたバターを入れ軽くホイップしそこへ粉糖を加えすり混ぜます。さらにアーモンドプードルと薄力粉を加えここからは木ベラやスパチュラに持ちかえすり混ぜます。最後に溶きほぐした卵を入れて全体を均一にします。材料を合わせることが目的です。ふんわりさせることはありません。ボールに入れたまま出番を待ちましょう。

工程2-パイ生地を作ります

2.いよいよパイ生地を作ります。パイ生地作りは温度が大事なので冬場がGOODタイミングです。室温の温度を控えめにして始めましょう!(人工大理石や天然大理石は表面温度が低いのでパイ生地作りにはあると嬉しいアイテムです。ですが、一般的にはそれ以外の台での作業となりますので、冷蔵庫で生地を冷やしながらの回数を多くして対応しましょう)今回の基本のパイ生地はマシーンは使いません。台に直接粉を広げ生地を作っていきます。広げた粉の真ん中を窪ませ、そこへ溶かしバター全部と塩をとかした水大1を入れ土手を崩すような感じで少しずつ混ぜ込んでいきます。水を少しずつ加えながら、生地をなじませていきます。気を付けることは急がないことです!あわてると水が土手を越えて周囲に流れ出てしまいます。

3.水をすべて加え生地になじんだらスクレイパーやドレッジで生地を集める感じでひとまとめにします。台の上で軽く4~5回たたむ感じです。(練るのではありません)かえって小麦粉のグルテンを出しすぎるとこのあと生地を伸ばしにくくなりますから、捏ねたりしないで良いです。ひとかたまりにしたらビニール袋に入れて冷蔵庫で約1時間ほど寝かせます。この段階では表面はブツブツした感じで構いません。

工程3-次に折り込むバターの準備をします

4.次に折り込むバターの準備をします。冷たいけれど硬すぎないくらいのバターをラップにはさみ、麺棒でたたきながら平たくします。一辺が15センチくらいの正方形に伸ばします。バターは柔らかくせず、やや冷たくやや硬めがちょうど良いです。きれいな正方形になったらバターの準備はOKです。

5.軽く打ち粉をふった台に寝かした生地を取り出し、麺棒で丸い生地を四角に伸ばします。やり方はこうです→丸い生地の真ん中に麺棒を置き、向こう・手前と麺棒で伸ばしていきますが、伸ばすのは生地の端の5センチ手前でやめます。生地の端っこまで麺棒をかけてはダメです。今度は向きを変えておなじように生地の端の5センチ手前まで麺棒をかけて伸ばします。この段階では丸い生地にまだ麺棒で伸ばされていない部分が四か所こんもりと残っているはずです。次にこんもりと残っている生地を外側に向けて麺棒をかけます。これでかなりおおまかですが四角になりました。

6.この四角の生地を一辺がおよそ30センチになるよう麺棒をかけながら伸ばしていきます。麺棒に生地が張り付くようなら打ち粉をします。15センチ角のバターを包み込むために、一辺がおよそ28~30センチの四角に伸ばします。ちょど良いサイズまで伸ばしたらバターを45度の角度に置き、風呂敷でたたむようにバターを包み込みます。閉じた部分は生地が重なっているくらいが良いです。この時空気を入れないようにピタっと生地をたたみます。そしていよいよ伸ばしていきます。

7.軽く打ち粉をふった台の上に生地を置き、上にも打ち粉をふります。最初は麺棒で押す感じで一方方向に伸ばしていきます。同じ方向にゆっくり徐々に押しながら伸ばします。初めの長さの約3倍ほどまで伸ばしたら余分な打ち粉を刷毛ではらい生地を三つにたたみます。たたんだ生地の表面の打ち粉をしっかりとはらい、ビニール袋に入れて冷蔵庫で10分ほど冷やします。
※ 生地をたたむときに打ち粉をはらうことはとても大事なことです。また冷蔵庫でねかせるときも、粉が付いたまま置いておくと硬い生地に仕上ってしまいます。

8.今度は向きをかえ同じように打ち粉をして3倍の長さまで伸ばします。そして余分な打ち粉を刷毛ではらい三つにたたみます。そして打ち粉をはらってまた冷蔵庫へ。この伸ばしてはたたみ冷蔵庫で10分休むという作業をあと3回行います。3×3×3×3×3で243層のパイ生地になります。

工程4-成型 工程5-焼き上げます

9.最後のたたむ作業が終ったら冷蔵庫で10分休めたのち台に取り出し、最終段階の伸ばしをします。直径21センチのパイに焼き上げるために底の生地として直径約23センチ、上にかぶせる用として直径約25センチの二つの円をカットできる大きさに生地を伸ばします。お手持ちのデコレーション型やシフォン型、お皿などちょうど良いサイズの丸があればそれを置いてパイカッターでカットします。もしなければ厚紙で型紙を作るのが良いですね。
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10.ガレット・デ・ロアは型は使いません。天板にじかに置いて焼きます。底用のパイ生地を天板に置きます。そこへ準備してあるアーモンドクリームを縁から2.5センチ内側の範囲にアーモンドクリームをのせます。底生地とかぶせる生地の接着面が少ないとアーモンドクリームがはみ出ることがあるので接着面となる縁部分に幅を持たせます。そしてここで忘れてはならないのがFèves(フェーヴ)です。アーモンドクリームの上に「フェーヴ」をひとつ置きます。ちょこっとだけ押して周囲と同様に平らにします。パイ生地の周囲にアーモンドクリームが縁の生地にくっ付かないように注意します。接着面となる周囲に薄っすらと水を塗り、かぶせる用のパイ生地を空気が入らないようそっとのせましょう(空気を入れないのがポイント!)周囲の生地を指で押しピタっと付けます。焼いている間にアーモンドクリームがはみ出さないようにするためです。

11.あとはお好みの模様をナイフの先っぽでつけていきます。気をつけるのは生地の表面だけに切り込みを入れることです。一番外側にはパイ生地をくっ付けるためにさらに模様を入れていきます。1センチ間隔で生地を真ん中に押す感じで竹串を使い細かく模様を入れていきます。上から見るとお花のようになりますからこの周囲の模様もぜひ入れてください。溶き卵を塗り最後に空気抜きの穴を数箇所開けたら完了!!190~200度のオーブンで17~20分、150度に下げて15分、甘い焼き色よりしっかりときつね色に焼き上げるのが「ガレット・デ・ロア」らしくて良いと思います。(ガスオーブンあるいは電気オーブンによって温度と時間が異なります。それぞれのご家庭のオーブンのくせと照らし合わせて焼き上げてください)

※ 表面の模様は様々ですが今回描いてみた模様は曲線の繰り返しで一番簡単な模様です。しかも偶然手元にあった直径15センチの木のプレートの曲線がぴったり合って助かりました。なかなかフリーハンドで描くのは難しいので、ちょうど良いサイズのものを見つけてください。

※ 生地は少し余ると思いますので、細くカットして卵白を塗って粉チーズをかけたり、グラニュー糖を貼り付けて焼いてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

手をかけただけのことはあります。シンプルな材料だけにその材料の良さが一段ときわ立つとても贅沢なお菓子、ナイフを入れてしまうのがもったいようなサクサク食感の「ガレット・デ・ロア」初めての方にはかなり難しいお菓子だったと思います。何十年も前にパイ生地作りに専念した頃を思い出しながら・・・

たしか一日で粉だけで2キロを使用していたと思います。朝から夜まで、毎日毎日折りたたんでは伸ばし・・・折りたたんでは伸ばし・・・続けて20~30個も作っていくうちにコツも覚えなかなかいい感じになってくるものです。

先輩の作業をみながら粉にまみれてやっていたころを思い出します。

なるべく分かりやすくお伝えしたいと思う気持ちが募りすぎて、いつも長くなってしまいます。懲りずに最後までお読みいただきありがとうございました。